交点を通る直線や円の方程式
伊勢高校、宇治山田高校の2年生が数Ⅱの『図形と方程式』の範囲を学習中です。
2つの直線の交点と指定されたもう1点を通るような直線の式を求める問題があります。この問題は中学2年生でも解くことができます。まず2直線の交点の座標を求め、もう1つの点との2点を通る直線の式が答えです。
この解き方とは違った解法があります。それは、2直線の交点を通る(全ての)直線を1つの式で表して解いていきます。具体的な例を示します。2つの直線:$ 2x+y-1=0 , x-3y+2=0 $ の交点を通る直線は定数$ k $ を用いて $ k(2x+y-1)+x-3y+2=0 $ … ①と表せます。$ k $の値を1つ定めれば交点を通る1つの直線の式と対応するため、指定されたもう1つの点の座標を①式に代入してできる方程式を解いて$ k $ の値を求め、その値を①式に代入し整理すれば答えになるわけです。このやり方にすると2直線の交点の座標を求める(連立方程式を解く)手間が省けるため計算量は少なくてすみます。
①式を作るとき、2直線のどちらの式に$ k $ を掛けても大丈夫ですが、$ k $ を掛けた式で表される直線(①式であれば $ 2x+y-1=0 $ )だけはいかなる$ k $ の値を代入しても表すことができません。そのため、①式を作るときに問題で指定された点が$ k $を掛けるほうの式の直線上にないことを確認しなければいけません。求める直線が2直線のどちらかそのものであるような(意地悪な)問題は普通ありませんが確認して断っておく必要はあります。
この解法は”円バージョン”で大きな威力を発揮するため使い方に慣れておくべきです。円バージョンとは、2つの円の交点を通って指定されたもう1点を通るような円の式を求める問題です。
この問題でも先述の問題同様、定数$ k $ を用いて1つの式で交点を通る全ての円を表すことができます。例えば、2つの円:$ x^2+y^2-4=0 , x^2-4x+y^2-4y=0 $ の2つの交点を通るような(全ての)円の方程式は $ k(x^2+y^2-4)+(x^2-4x+y^2-4y)=0 $ … ② となります。その後の使い方は①式のときと同じです。そして、この②式も$ k $ を掛け合わせる $ x^2+y^2-4=0 $ の円だけは表せないため最初の確認は必要です。
また、$ k=-1 $ のとき②式は円の方程式ではなく直線の式になります。この直線は2円の2つの交点を通る直線であることも知っておいてください。もし②式を使わずにこの種類の問題を解くと、解けなくはないのですが計算量が何倍にも増えますから使えるようになってくださいね。