過不足のある反応

昨日受けた質問がこちら。

温度一定で体積$5.0$(L)の容器に一酸化炭素と酸素の分圧がそれぞれ$1.8×10^5$(Pa)と$1.2×10^5$(Pa)で入っている(全圧は$3.0×10^5$(Pa))。この混合気体に点火して燃焼させた後、もとの温度に戻した。燃焼後の混合気体の全圧、および存在している各気体の分圧を求めよ。

ポイントは『分圧比=物質量比』です。ただしこの問題では、混合気体を燃焼する際、反応する気体の物質量に過不足があることを考慮しなければいけません。具体的にみていきましょう。
一酸化炭素が燃焼する化学反応式が$2CO+O_2→2CO_2$は大丈夫ですね。容器内の$CO$と$O_2$の物質量比=分圧比が$1.8×10^5:1.2×10^5=3:2$なのに対して化学反応式の係数から$CO$と$O_2$は$2:1$の物質量比で反応するため、どちらかの気体が余ります。$2:1$でちょうど反応するところを$3:2$で存在しているときにどちらが余るか?分かりづらいですよね。
過不足がある反応の場合は片方を基準にして比較します。酸素を基準にしますよ。$CO$は$O_2$の2倍の物質量で反応しますから$O_2$を$2(←3:2の2)$とすると$2×2=4$必要です。しかし$CO$は$3$しかありませんから一酸化炭素は全て反応して酸素が余ることになります。これさえわかれば具体的な量関係が計算できます。
$COとO_2$の物質量を$n_{CO}=3x$(mol),$n_{O_2}=2x$(mol)とおいて反応後に存在する気体の物質量を求めます。化学反応式より$CO,O_2,CO_2$の物質量の比が$2:1:2$ですから、すべて反応する$COの3x$(mol)を基にして、反応する$O_2が1.5x$(mol)、生成する$CO_2は3x$(mol)になります。したがって反応後に存在する気体の種類と物質量は、酸素が$2x-1.5x=0.5x$(mol)および二酸化炭素が$0+3x=3x$(mol)です。
また混合気体の総物質量は反応前が$3x+2x=5x$(mol)で反応後は$0.5x+3x=3.5x$(mol)です。これらの総物質量比と全圧比は等しいので$5x:3.5x=3.0×10^5:P_全$ より $P_全=2.1×10^5$(Pa)が求まります。最後に、酸素と二酸化炭素の分圧比は、$O_2$と$CO_2$の物資量比$0.5x:3x=1:6$と等しいので $P_{O_2}=2.1×10^5×\frac{1}{7}=3.0×10^4$(Pa),$P_{CO_2}=2.1×10^5×\frac{6}{7}=1.8×10^5$(Pa)となります。
このように過不足のある反応では、余る物質を見つけたあとに全て反応する物質の物質量を基にして化学反応式の係数比から他の物質の反応量を計算していきます。

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